コミック

脳内ポイズンベリー

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恋愛の素敵じゃ無さをとことん描いた傑作
水城せとな、続いてもう一つ。人は自分の中の色んな思考が戦い合って、行動を決めているのではないかと、この作品では「ポジティブな思考」「ネガティブな思考」「記憶」「瞬間の感情」「議長」の5人が頭の中でいつも会議している。たまに「本能」を思わせる謎の黒い女が登場することもある。
こうして書いていると、ピクサーの映画「インサイドヘッド」の筋書きなどが頭に浮かんでくるが、ピクサーのほうが後。

主人公いちこが7つも年下の男、早乙女亮一に恋し、いつも頭の中で5人が会議をしながら物語が進んでいくという、ユニークな視点が面白い。「失恋ショコラティエ」でもみせた恋愛の鋭い描写力はさすがで、恋の上手くいかない様子をとことん描きながら、恋の行方と脳内会議の場面とを繰り返す、独特の雰囲気のある稀有な漫画になった。

どこかで「失恋ショコラティエ」の女バージョンと脳内ポイズンベリーの事を評してるのを見かけたことがあるが、確かにという感じで、サエコに振り回され疲れ切ってあきらめる爽太と、早乙女に振り回されて、とことんまで疲れ切って別れるいちこ。
インタビューで作者が、「物語でも現実でも、基本恋愛は“片思いが当たり前”って思ってる」「“両思い”なんてきっと一種の思い込み」など、自らの恋愛感も晒した|コミックナタリー(出典)とのことだが、恋愛を美化せず、冷静で客観的にシビアなところを描く姿勢は、そういった価値観から来ているのか。
確かに付き合っても片思いが2つ並んだだけなのかもしれない、恋愛って。でも少女漫画や女性漫画は、素敵な男性または男の子を、夢中でひたむきに追いかけ、胸キュンキュンしながら成就するのを読むのも楽しみなのだ。
そういった意味では、水城せとなは貴重な存在だがニッチ、主流がこの世界観だったら、殺伐としてて寂しい。


脳内ポイズンベリーは、漫画にありがちなライバル登場やすれ違いなどにより話を進めるのではなく、当人同士の上手くいかなさをとことん描いている漫画だ。そして付き合ったとしても、その後幸せがいっぱいなわけでない、恋愛の難しさ、奥深さを書いている。漫画では非常にレアだが、現実ではむしろゴロゴロ転がっていて、むしろそういうケースのほうが多いのではないでしょうか。

これまで恋愛の難しさを描いた漫画もあったと思うけれど、最後は分かりあったり、希望が見えたりして終わるのに、この漫画は行きつくところまで行きついて、最後疲れ切って破たんするという、日常的な雰囲気でありながら壮絶な結末を迎える。
ありそうながら、厳しいリアルなエピソードは作者の経験から来ているのかな・・と思いながら読んでいましたが、タイプで素敵に見える早乙女も、ヒマな時はゲームばっかしている自称アーティストのフリーターで、そのバイトもふらふらと続かない駄メンズ。彼女が仕事で成功したことを知っても妬みむくれ、言わなくてもむくれる。いちこは地雷をふまないようビクビクしながら付き合うようになり、顔色ばかりを伺う日々になる。
確かに早乙女って駄メンズなのだが、自由で魅力的に見えるのかもしれない。いまは。おっさんになって来たら、きついのでは?

最後は堅実な大人の男性、越智に落ち着くというオチ(おやじギャグじゃないよ)でした。
メチャクチャ面白かったです!私的にはツボにはまる漫画でした!
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